出典: 「男はつらいよ」公式サイト
寅さんの口上をよく口にしてしまう、ブリプリオです。
みなさんは「男はつらいよ」という映画をご存じですか?
40代以上の方は大体ご存じかと思いますが、若い人は知らない方が多いかも知れませんね。
この映画、2019年で公開50周年を迎える、娯楽映画の超大作なのであります。なんとそのシリーズ合計は怒濤の48作品。ギネスにも認定された、後にも先にも類を見ない日本映画が誇る、モンスターシリーズなのであります。
そしてなんとなんと、先頃、男はつらいよ50周年プロジェクトとして、来年寅さんの新作が公開されることが決まりました。一体どんな作品になるのか期待に胸が膨らみます。詳細はこちらの記事をご覧ください☟
今回は「男はつらいよ」シリーズの大大大ファンであるブリプリオが「寅さんを取り巻く人々」と題して、寅さんをあたたかく見守るレギュラーキャスト陣を詳しく紹介したいと思います。
寅さんを取り巻く人々 (とらや)
出典: 柴又帝釈天 門前とらや (トリップアドバイザー提供)
諏訪さくら / 倍賞千恵子
寅さんの腹違いの妹。
常に自由奔放な兄の身を按じる妹として、この映画の準主役的存在です。
シリーズ全体を通して、寅さんの恋愛のフォローや寅さんが巻き起こすごたごたに冷や汗をかき、時にはしりぬぐいをする献身的な姿が印象的です。
寅さんの一番の理解者であり、主題歌の歌詞にもあるように“いつか兄がカタギの生活に戻ってくれること”を柴又の空の下でいつも祈っています。
1回目の記事でも書きましたが、初期のさくらは思わず息を呑むほどに美しく、彼女の深い愛情を受ける寅さんや夫の博に世の男性は激しい嫉妬心を燃やしたことでしょう。
そんなさくらも作品と共に成長し、やがては子供を生んで、母親となり、いろいろな悩みを抱えながら、家庭やとらやをきりもりする主婦のかがみとしてその存在感を発揮しました。
諏訪博 / 前田吟
さくらの夫。
元はとらやの裏の印刷工場で働く職工でしたが、1作目で見事にさくらのハートを射止め、とらやファミリーの仲間入りを果たします。
大学教授の厳格な父親を持ち、博自身も大学進学の道を志すはずでしたが、高校の時に父親と対立し、高校を中退して上京。
新宿でくすぶっているところでタコ社長(とらや裏の印刷工場の社長)にひろわれるという設定になっています。
そんな経緯もあり、博の発言はそこかしこで博識ぶりをうかがわせます。時には寅さんの支離滅裂な論法に対して、理路整然と諭したり、知的な助言をする時もあります。
寅次郎が茶の間でおいちゃんやタコ社長とけんかになり、暴れたときには体を張って押さえ込むことができる唯一の冷静な人物です。
車竜造(おいちゃん)
森川信(第1作~第8作)→ 松村達雄(第9作~第13作)→ 下篠正己(第14作~第48作)
寅次郎の叔父であり葛飾柴又の帝釈天にある老舗の団子屋「とらや」の6代目主人です。
兄の平造(寅次郎とさくらの父親)の死後、とらやを引き継ぎました。平造が夢の中で枕元に立ち、「寅次郎とさくらのことを頼む」と言い残してから、責任を持って二人の親代わりをしています。
おいちゃん役は上記の通り、3人のキャストがそれぞれの時代を演じました。キャラクターは三者三様で俳優によってやや異なりました。
1代目の森川信は喜劇役者だったこともあり、寅さんと同様にどこか抜けた明るいキャラクターで店の営業中に昼寝をしたりして、つね(おばちゃん)からもあきれられることもしばしばでした。
毎度、寅さんが巻き起こす色恋沙汰にかき回されるも、寅次郎の口車に乗せられるトボケた愛らしい一面もあります。
ドタバタを繰り返す寅さんに「バカだねえ…寅は」というぼやきや
寅次郎の奇行が頭痛の種となり寝込む時には、さくらに対して「枕、さくら取ってくれ」というギャグが定番となって、とらやのシーンをいっそう盛り上げてくれます。
続いて2代目は松村達雄。
森川の時は寅さんと取っ組み合いのけんかになることもしばしばでしたが、松村演じる2代目おいちゃんはやや大人しくなり、無類のパチンコ好きで、むしゃくしゃするとパチンコに出かけ、つねにたしなめられるという場面がよく見られました。
ちなみに松村達雄は2代目おいちゃんになる前に第6作に医師役で出演しています。
幼い頃よく見ていた「赤いシリーズ」(古っ!) などで様々な配役を器用にこなされる松村さんの姿をよくテレビで見ていたので、個人的にはけっこう好きな役者さんです。
そして、一番長く出演しているのがおなじみ下條正巳の3代目おいちゃんです。
これまでのマイペースなキャラクターとは異なり店の切り盛りも勤勉にこなすややシリアス寄りのキャラクターとなりました。
長らく風来坊としてテキヤ生活を送る寅さんがとらやで勝手なことを口走ると、「お前には関係ない話だ、黙ってろ!」と厳しく苦言するシーンもよく見られました。
このシーンのあと、森川・松村の時代は決まって、取っ組み合いのけんかが始まっていたのですが、3代目おいちゃんの時には
寅さんが、お決まりの決めゼリフ「それをいっちゃあおしめーよ。」を言い残して再び旅へ出て行きます。
さくらが大声で「おにいちゃんー」っと叫んでとめるも寅さんの決意は固く、足早にとらやを去ってしまいます。
おいちゃんが「ほっとけあんなやつ。」と言い放ち、画面がシリアスに暗転するという流れが定番中の定番です。
私は比較的晩年の作品から入りましたので、おいちゃんと言えば、まず下條さんを思い浮かべますが、初代の森川さん、2代目の松村さんにもそれぞれの味があって、みんな好きですね。
『赤いシリーズ』1974年から1980年にかけてTBSが大映テレビと共同で製作・放映した全9作からなるドラマシリーズ。全ての作品タイトルが「赤い~」となっている。
山口百恵、三浦友和、宇津井健がシリーズの顔。
※松村達雄は「赤い嵐」という作品に豆腐店の店主役で出演している。
出典: nepenthes
車つね(おばちゃん)/ 三崎千恵子
寅次郎の叔母。
ニッポンのお母ちゃん的な元気で少々そそっかしい愛すべきキャラクターです。
感情豊かで涙もろく、実の母親のように寅次郎に愛情を注ぎ、さくらとともに寅さんのよき理解者となっています。
寅さんが旅先から帰ってくると、決まって大好物のいものにっころがしやがんもどきの煮物を作り、あたたかく出迎えてくれるまさに実家に帰ってきたときの母親のようなあたたかい世話焼きぶりをみせてくれます。
昭和のおかあさん的女優と言えば、京塚正子や森光子を思い浮かべるのが普通かもしれませんが、私にとっては完璧に三崎さん演じる「とらやのおばちゃん」ですね。
子どもがないという設定のため、寅さんのことを愛情たっぷりに「寅ちゃん」と呼ぶ数少ない人物でもあります。
おわりに
「男はつらいよ」コラム、今回は寅さんを取り巻く人々PART①をお送りしました。いかがだったでしょうか?
私はこの映画の中で、寅さんととらやの人々が悲喜こもごもを演じる「とらやのシーン」が一番好きです。
私にとってはとらやのシーンの出来具合が作品の善し悪しを決める大きな要素となっています。
とらやで展開された様々な伝説のシーンがあるのですが、その話はまた別の機会とさせていただきます。
次回は寅さんを取り巻く人々PART②と題し、
満男、及川泉、タコ社長、御前様、源公などのキャストを紹介します。どうぞお楽しみに~~~。
出典:御成座(オナリ座)
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