ブリプリオのブログでカーレビュー!
今回はBMW新型5シリーズ530eに試乗してきました!
5シリーズはセダンとツーリング(ワゴンタイプ)の2つのボディタイプで、エンジンラインナップもガソリンあり、ディーゼルありと、とても充実していますが、530eはその中でも唯一のプラグインハイブリッドモデルとなります。
2020年9月のマイナーチェンジにより、内外装が一新され、動力性能もパワーアップしました。
さらにエクストラブーストモードというハイブリッド車ならではのいかにもすごそうなモードを備えているのも特徴です。
今回の試乗レビューは、このエクストラブーストモードとPHEVシステムにスポットを当ててお送りします。
どうぞご覧ください !
新型5シリーズ530eコラム風試乗レビュー
□5シリーズ530e主要諸元
車名 | 530e (5シリーズ) |
---|---|
メーカー | BMW |
車種 | ハイブリッドセダン |
排気量 | 2.0L |
最高出力 | エンジン:184ps モーター:109ps |
最大トルク | エンジン:300Nm モーター:265Nm |
サイズ | 全長4975×全幅1870×全高1485 |
燃費 | 12.8km/L (WLTCモード) |
乗車定員 | 5名 |
車両価格 | Mスポーツ・エディション・ジョイ+ 840万円 |
□最近のBMWフロントマスクの話
2021年1月某日、いつもお邪魔しているディーラーのKさんから新型5シリーズ530eの試乗車が入ったとの連絡があり、すぐにディーラーに出向いた。
Kさんには気になる車種は前もって伝え、試乗車が出ればその都度連絡をもらうようにしている。
早速、2020年9月にマイナーチェンジとなった5シリーズと初対面。
フロントマスクはややねむたげな表情だった前型から随分印象が変わり、目の覚めたようなきりっとした表情に変貌を遂げていた。
サイドやリアのデザインについては基本的に変わっていないようだ。
新型(後期)5シリーズ
出典:car.motor-fan前期5シリーズ 出典:allabout
最近のBMWはモデルによって、顔つきに変化を与えているところが興味深い。
主にキドニーグリルの大きさや形状で変化をつけている。
以前にも述べたが、個人的には8シリーズの顔が1番好みである。グリルは大きすぎず小さすぎず、流麗なクーペフォルムに見合うイケメン顔だ。
8シリーズの顔はBMWという括りを超えて、全メーカーの中でもトップレベルの秀逸なデザインであると思う。
また巨大キドニーグリルで話題となった4シリーズの顔も賛否両論の嵐を呼んだが、最近では落ち着いてきて、世間的にも徐々に定着してきたようである。
個人的にも「あの顔」にだんだん見慣れてきて、他のどれとも似ていない独創的なデザインをむしろ好ましいとすら思い始めている。
今じゃ前型のデザインが少し物足りないと感じるぐらいだ。
先頃4シリーズには待望のグランクーペが登場したが、先に出たクーペモデルと比べて全高が増し、先代に比べると分厚くかなりグラマラスなボディとなっている。
その影響もあってかクーペではややとってつけたような印象だった巨大グリルが、グランクーペには妙になじんでいると感じた。
全体を眺めてみるともはや4ドアクーペというよりはセダンに限りなく近いフォルムに見える。
クーペの方を初めて見た時は今にも敵に食らいついていきそうな肉食動物をイメージしたが、おもしろいもので、グランクーペではそんな獰猛さは影をひそめ、顔つきも上品に見えるから不思議だ。
さて、新型5シリーズの顔つきはマイナーチェンジ前よりはブラッシュアップされ、すっきりとまとめられた印象である。
決して悪くはないが、8シリーズや4シリーズに比べるとややインパクトに欠ける感じは否めない。
全体的にザ・セダンといった正統派なフォルムなので、根っからのセダン好きにはいいが、昨今のSUVブームの中での万人受けはなかなか難しいと思われる。
BMW新型4シリーズクーペ
出典:responseBMW8シリーズグランクーペ
出典:response
□530e試乗とPHEVの話
運転席に乗り込み、シートポジションなどを調整したあと、エンジンスイッチを押す。
画面が起動はするが、PHEVなので当然エンジンはかからない。
5シリーズでも大きさはさほど気にならないですか?
念のためスタート前に気になっていたことをKさんに確認。
「いや、けっこう気を使いますね」
予想とはちがう答えが返ってきた。
「大きな道を走っているときは問題ないですけど、狭い道や駐車の際は3シリーズなどと比べるとさすがにだいぶ気をつかいますね」
なるほど。
全長5mに迫るボディではあってもそこはBMW、扱いやすくきびきび動くイメージがあるが、なかなかどうしてそうはいかないようだ。
シートに身をしずめ、ステアリングに手をかけると室内が広々していることもあって確かに幅を感じる。
まずはモーターのみで走るエレクトリックモードでスタートを試みた。
アクセルを踏むと思いのほか、のっそりとした動きを見せる。EV特有の強大なモータートルクで「ぐわっ、ぐわっ」と出ていくかと思いきや、予想に反して穏やかな立ち上がりだった。
プラグインハイブリッド車ゆえに当然大容量のモーターを積んでいるので、このあたりは仕方ないといったところだろうか?
乗り味も、なめらかさはある程度あるものの、これまで経験したPHEV(PHV)で感じたような電動車特有のぬるっとした動きはあまり伝わってこない。
よくいえば普通のガソリンモデルと変わらないフィーリングで乗れるともいえる。
乗り心地はミドルサイズセダンである5シリーズ全般にいえると思うが、スポーティーというよりはラグジュアリーな方向性が強い。
中でもこの530eは車重があるので、どっしりとした重厚な乗り味ではある。
しかしながらEVっぽさはあまりないので、いわゆる「しっとりなめらか」というフィーリングとはちょっとちがう気がする。
乗ったことはないが、523iや530iなどのガソリンモデルの方がまだ軽快に動くのではないかと予想できる。
決して悪いわけではないけど、取り立てていうほどの特徴もなく、何か判然としないキャラだなあと感じながら、市街地を抜け、高速に乗った。
今回のハイライトはマイチェン後に追加されたエクストラブーストモードを試すことだ。
この状態のときにエンジンとモーターを最大限に使った最高出力と最大トルクが発揮されるというわけだ。
今のところ、可もなく不可もない印象だが、エクストラブーストモードを使えば、クルマが豹変し、PHEV版駆け抜ける歓びがきっと感じられるはずだ。
さあ行こう!
エクストラよければ全てよしだ。
そんな期待を一心に込めて、本線合流後、スポーツボタンを2度押してエクストラブーストモードに切り替え、一気に右足に力を込める。
そゃりあ、エクストララララララララ…….
あれれれ….???
これまでの穏やかな動きから一転、全く性格のちがう獣が姿を現すと思われたのだが、、、
ステアリングの手応えが重くなる、足回りが締まる、アクセルのツキがよくなるなどのお約束の反応はあれど、加速自体は決してエクストラといえるほどのものではない。
あれおかしいぞ?
これ本当にエクストラに入ってます?
「入ってますね」とKさん。
たぶん高速に乗った時点でモーターのバッテリー残量がほとんどない状態だったので、そのあたりが微妙に影響したのかもしれない。
いや、そんなはずはない。
もう一度右車線に出て、再加速を試みるも、、、やはり加速感は虚しく変わらず、残念ながら拍子抜けの結果となった。
エクストラというからには当たり前にエクストラな加速を想像していたのだが、これでは普通のスポーツモードと大差ない。
「どうですか。エクストラ?」とKさん。
正直、もうちょい速い(エクストラ)と思ってました。
Kさんとは他メーカーのクルマについてもあれこれ話すほど、気心が知れているので、思ったことを正直に話すようにしている。
「やっぱりですか、なんかそんな気がしました」Kさんもちょっと残念そうだ。
どうなんだろう?
PHEVというのはある一定の距離はガソリンいらずでEV走行が楽しめるという利点もあるが、走りの楽しさという点ではやはり弱くなってしまうのだろうか?
もちろん走りのBMWなので、PHEVであっても楽しさは健在ではあるが、走りの軽快さやハンドリングの切れ味などにおいては、まだまだガソリンモデルに分がある気がする。
特にこの5シリーズには、4気筒のガソリン、ディーゼルの他、伝家の宝刀直6エンジンを積む540i、その上にV8エンジンを積むM550iというMパフォーマンスモデルがあり、さらに最高峰にはM5というピュアMモデルが控えているわけで、実に幅広い展開だ。
そういう意味ではこの530eは一体どういった人が選択するのか、あるいはどういった人を想定して作られているのか?と考えてしまう。
そこで唐突だがPHEVを買おうという人の条件を考えてみた。
条件①
通勤などが航続距離でいけてしまう人
条件②
EVにはあらゆる面でまだ手が出ないが、EVのなめらかで上質走りを楽しみたい人
条件③
モーター+エンジンの力強い走りを楽しみたい人
と、こんなところだろうか?
①の考察
530eの航続距離(カタログ数値)は54km。ということは実質40km弱を電気で走れるということが予測される。
すなわち通勤などで片道20kmくらいはいけるが、それ以上となるとガソリンを使用することになる。ただし近所にお買い物程度は余裕でいける計算だ。
②の考察
世間では2030年代半ばまでには電動化が進められるといわれてはいるが、それほど実感も沸かないし、普通の人で次のクルマはEVを買おうと思っている人はまだまだ少ないのが現状である。でもEVに興味はあって、EV独特のなめらかなモーター走行を楽しみたいという人も少なからずいるはず。
そんな人にとってPHEVはまさにうってつけのEV入門的な車種ではある。しかしこの530eの走りはなんとなくガソリン車に近いフィーリングだ。過去に試乗経験のある国産のアウトランダーPHEVやRAV4PHV等の方がよっぽどEVらしいと感じた。
③の考察
個人的にはPHEVを買うとしたら③に期待してしまうところが大きい。
530eの0-100加速はエクストラブースト発動では5.9秒となかなかのものではあるが、今回の試乗では数字ほどの速さや高揚感を残念ながらあまり感じることはできなかった。
でもって結論
PHEVを買うなら、国産がいい。
特に三菱が誇るアウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVでは、航続距離こそ5シリーズと大差ないが、EVっぽくなめらかに走るという点では530eを凌ぐ性能を持っている。
アウトランダーPHEVは今年12月にはいよいよ9年ぶりのフルモデルチェンジを控えており、前評判も上々だ。
上記①②③の条件をほぼ満たしているといって差し支えないだろう。さらに新型では航続距離もWLTCモードで87kmと先代に比べて格段に伸びていることも大きな魅力だ。
以前は走行性能に課題があったが、エクリプスクロスPHEVの力強い走りはきっと新型アウトランダーPHEVにも受け継がれているはずだ。
また航続距離の面ではRAV4PHVがカタログ数値95kmを誇っており、実質距離は80km前後と考えると片道40kmは走行可能でざっと530eの倍の距離をモーターのみで走れるという計算になる。
おまけにRAV4PHVは0-100加速も6秒フラットと動力性能も530eとほぼ互角。いや、実際の試乗ではRAV4PHVの方が正直なところ速く力強いと感じられた。
11月から発売が開始された話題の新型レクサスNXのトップグレードである450h+もRAV4PHVと同等のスペックを誇る。
①~③の条件に加えてよりゴージャス仕様を求めるならこちらの選択もありだ。
というわけで5シリーズに話を戻すと、今から5シリーズを買うなら、比較的安価で買える523iや523dがおすすめ。
前型の中古なら安くて300万代で購入できるので、特にデザインにこだわらないならかなりお買い得といえる。
もちろん、予算があってさらに走行性能にこだわる方はは540iやM550iを選ぶに越したことはないだろう。
特に評論家諸氏からの評価も高いM550iは電動化になる前に一度は乗ってみたいV8エンジンを積むハイパワーなモデルであり、個人的にもかなり興味津々である。
さて、そんな5シリーズに関して、545eという直6+PHEVのハイバワーモデルが欧州では発売されているという情報をたまたまネットで見かけた。
0-100加速がなんと4.7秒。530eの5.9秒を遥かに凌ぐスペック。これはまちがいなく速い。その分値段もはるとは思うが、、、
欧州発売から1年ぐらい経っていることを考えると、さすがに日本導入は厳しそうだ。
BMW伝統の直6+PHEVなら、買う価値はかなりあるだろう。
もともとシルキーなエンジンにモーターの組み合わせなら、かなり上質な走りを味わえるのは間違いないだろう。
5シリーズ導入は無理としても、他モデルで今後導入されることを大いに期待したい。
アウトランダーPHEV 出典:webCG
エクリプスクロスPHEV 出典:webCG
RAV4PHV 出典:car.watch
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おわりに
今回はBMW新型5シリーズ530e試乗の模様をお送りしました。
本文ではPHEVを買うなら国産と述べましたが、530eもガソリンモデルの530iと大差ない価格帯で購入できるので、コスパは悪くないですね。
ガソリンが高騰している昨今、20km以内の普段乗りが多い方にはおすすめといえるでしょう。
実際の走りについては、充電状況によっては感じ方もちがうと思われるので、ぜひ試乗をしてみてください!
これからも各メーカーのニューモデルや話題の車をバッチリ紹介していきます。
次回もお楽しみに! ではでは。
Enjoy driving !!!
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